日本でも、昔から大人気犬種であるポメラニアン。
華奢で小さいけれど、明るくて元気なイメージの犬種ですよね。
体高は20cm前後で、平均体重は1.8~3kgで、ときどき5kgくらいの少し大きめの子もいます。
最近では、柴犬カットやテディベアカットなどいろいろなカットが流行していますね。
それでは、そんなポメラニアンについて詳しくご紹介します。
ポメラニアンの歴史
ポメラニアンの祖先は、スピッツ系に属するサモエドであると言われています。
ジャーマン・スピッツには6種類あり、最も小さいジャーマン・ツヴェルク・スピッツがポメラニアンです。
ポメラニアンという犬種名は、バルト海に面したポーランドとドイツのポメラニア地方から来ているのではないかと言われています。
しかし、イギリスに持ち込まれる前のポメラニアンの歴史については正確なものは残っていません。
ポメラニアンの初期の記録
ポメラニアンについての初期の記録は、1764年にジェイムズ・ボズウェルの日記です。
彼が、ドイツとスイスを旅行中に見たというポメラニアンの記述があることと、ウェールズ人のトマス・ペナントの「スコットランド旅行記」にロンドン商人がポメラニアンとオオカミを交配させたという記述があります。
ポメラニアンの小型化への改良は、イギリスのシャーロット王妃が二頭のポメラニアンをイングランドに持ち込んだことから行われたとされています。
しかし、その頃のポメラニアンは、今よりもかなり大型で、14kg~23kgほどの大きさがありました。
見た目は今のポメラニアンとほぼ同じです。
ポメラニアンの愛好家として有名なのは、シャーロットの孫娘であるイギリス王女ヴィクトリアです。
ポメラニアンをたいへん愛し、その当時、繁殖用の犬舎まで持っていました。
1891年に、ヴィクトリア女王が約5.5kgの小型のポメラニアンを展覧会に出したことで、大人気となりました。
さらに、ブリーダーがより小さなポメラニアンの作出に尽力し、ポメラニアンは半分以下の大きさになっていました。
他にも、フランス皇帝ナポレオンの王妃ジョセフィーヌ・ド・ボアルネやイギリス王ジョージ4世らも、ポメラニアンを愛好し、飼育していたと言われています。
ポメラニアンがアメリカンケネルクラブに公認されたのは、1900年のことです。
ポメラニアンの特徴
ポメラニアンの毛色
ポメラニアンの初期は、ほぼ白が中心でした。
ときどき黒が生まれることもありました。
ヴィクトリア女王はレッドのポメラニアンを好んで作出しており、ポメラニアンの人気のきっかけはレッドです。
現在は、ポメラニアンには、レッド、ホワイト、ブラック、ブラウン、オレンジ、クリーム、セーブル、ブラックアンドタン、ブラウンアンドタン、ブリンドルなどの多種の毛色があります。
基本的な色は、ホワイト、ブラック、オレンジ、クリームであると言われています。
最近では、単色にグレーやブルーに、まだら模様が入るマールなど、ポメラニアンの毛色は多種多様です。
マールは目がブルーであることも多いです。
被毛は、ダブルコートで、硬めのオーバーコートとやわらかいアンダーコートです。
1年に2度換毛期があり、アンダーコートがたくさん抜けます。
また、アンダーコートはもつれやすいので、飼い主はほぼ毎日グルーミングが必要となります。
ポメラニアンの人気
ポメラニアンは、アメリカでは常に人気犬種の第15位以内には入っているほどの人気です。
さらに日本では常に10位以内に入っていましたが、2007年以降は5位以内に入る大人気犬種となっています。
しかし、ポメラニアンの小型化に尽力したイギリスでは人気が減少しており、オーストラリアでも登録数は500頭にも満たないようです。
ポメラニアンは、小型で書いやすこともあり、都市部での人気が高いのが特徴です。
ポメラニアンの性質
ポメラニアンはフレンドリーで明るく活発な性質です。
飼い主に対する依存度が高く、飼い主と共にいることを好み、離れると不安を感じやすくなります。
縄張り意識も強い方で、うまく躾けしないと来客などに吠えたりすることもあります。
しかし、とても聡明な犬種であるため、躾けに対する理解も早く、子犬期の躾けをうまく行えば、とても飼いやすい愛玩犬となります。
ポメラニアンの健康
小さなポメラニアンは、見た目より、頑健であると言われています。
それでは、ポメラニアンの健康や寿命、かかりやすい病気などについてご紹介します。
ポメラニアンの寿命
ポメラニアンの寿命は、平均12~16歳と言われています。
適度な運動と適量の食事、定期的なトリミングを怠らなければ、元気で長寿な犬種です。
体が軽いため、純血種にありがちな特定疾患もほぼありません。
しかし、足が細いので骨折しやすいのもポメラニアンの特徴です。
高い台などから飛び降りて、手足を骨折することが多いので、そこは注意が必要です。
ポメラニアンの罹りやすい病気
ポメラニアンは、個体差はありますが、概ね健康で元気な子が多いです。
しかし、マール(単色にまだら模様の毛色)は、難聴、高眼圧症、屈折異常などを発症することが多いようです。
また、両親ともがマールである場合は、心臓や骨格に異常が現れやすいと言われています。
また、ポメラニアンは、気管支障害も多く、咳が出やすいのも特徴です。
他には「黒斑病」「クッシング症候群」「甲状腺疾患」にもかかりやすいようです。
うちにいたポメラニアンたちも、シニアに近づくにつれて気管支炎や喘息のような咳をする子が多かったです。
スタンダードを守るために
ポメラニアンは、元々サモエドを祖先に持つ犬ですが、中型から大型犬を、イギリス貴族の手で小さく作出され、人気が出た犬種です。
今は、ポメラニアンの体の大きさはほぼ定着しましたが、ときどき5kg以上の大きい子も生まれてくることがあります。
ジャーマン・スピッツやサモエドの特徴が色濃く出たということでしょう。
今、小さなポメラニアンをさらに小さくしたティーカップポメラニアンに人気が集まっているようです。
小さい子はとても可愛いですし、飼いたいと思う方も多いと思いますが、やはりスタンダードを守っていくことも大切なことなのではないでしょうか。
最近は、ティーカップポメラニアンも、丈夫な子が多くなっているようではありますが、より小さい子を作出することで、体が弱かったり上に挙げたような疾患を持って生まれてくる子も増えるでしょう。
そんなかわいそうなことを避けるために、飼い主側が、あまり小ささにこだわるのは控えるべきだと感じます。
それでは…「わんこ図鑑ーポメラニアン」でした。
以下の記事でマルチーズについてご紹介しています。
よろしければご覧になってみてくださいね。
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