黒いビニール袋から助け出された幸せのマルチーズ

私の友人の家には、黒いビニール袋が大嫌いなマルチーズがいます。

名前をポッキーといいます。

真っ白で小さくて人懐っこい、本当に可愛い子です。

 

真っ黒な瞳に見つめられると誰もが笑顔になってしまいます。

頭を撫でるとすぐにお腹を見せて、「撫でて!」と手をちょいちょいしてきます。

そんな今はとても幸せな可愛いマルチーズのお話です。

ゴミ捨て場に黒いビニール袋が捨ててあった

おすわりするマルチーズ

ある2月の終わりのとても寒い日のこと。

友人が出勤前にゴミを捨てようとしたら、市の指定のゴミ袋ではない黒のビニール袋が捨ててあったのを発見しました。

大きなビニール袋だけど中身は小さいものらしく、ぺちゃんとしていたそうで、口もふんわりとしか結ばれていません。

友人が、何気なく持ち上げると、そのビニール袋がもぞもぞと動き出したそうです。

そのとき、何か小さな鳴き声のようなものもしたようです。

 

これは、なにか生き物が捨てられているんだと気がついた友人が、慌ててゴミ袋の結ばれた口をほどきました。

すると、真っ白でふわふわした小さな子犬が出てきました。

 

そのマンションは賃貸でしたが、小型犬なら飼ってもOKのマンション。

友人もヨークシャーテリアの女の子を飼育していました。

飼ってはみたけれど、育てきれずに捨てたのでしょうか。

 

少しぐったりしていたこともあり、自営業のご主人に「とにかく、獣医さんに診せて!」と頼み、友人は一旦出社したそうです。

期末近くの月末だったので…。

会社から休憩時間にご主人に電話をかけたら、特に悪いところはなく、ご飯を食べさせたら元気になったとのことで、ご主人がそのまま職場に連れて行き、そのときには「うちの子にしよう」とすでに二人の気持ちは決まっていたといいます。

獣医さんによるとその白い子犬は、3ヶ月になったばかり位とのことでした。

黒いものが怖い

こういった場合、一旦は警察に届けることになるそうです。

もしかしたら、「落としたのかもしれない」からということで。

子犬も「落とし物」扱いなんですね。

 

黒いビニール袋に入れてゴミ捨て場に落とす人がいるとは思えないですが、一応警察に届け、「飼い主が見つかるまで預かって、見つからなければうちで引き取ります」と、友人夫婦は、その日のうちに連れて帰ったそうです。

警察では、1週間経っても飼い主が見つからなかったら、保健所につれていくしかないので、「助かります」と言われたそうです。

その巡査さんも、迷い犬として交番に連れて来られた犬をすでに4頭連れて帰っているそうでした。

そして、もちろん、1週間経っても「落とし主」はなく、無事友人夫婦のお家の子になったポッキー。

それからは、先住犬のヨーキーのチェルシーが母性本能に目覚め、母犬のようにポッキーを可愛がり、元気に育っていってくれたそうです。

 

しかし、ポッキーには、一つ問題がありました。

とにかく、黒いビニール袋はもちろん、黒いコートやストールなど、黒くて大きなものが怖くて怖くて仕方がないようでした。

黒い大きな物を見ると、ベッドの下に潜り込んで出てこなくなり、ずっと震えているそうです。

 

その姿を見て以来、二人は、季節物の電気製品などを黒いビニール袋にいれていたのも止めることにしました。

黒いコートやダウンジャケットも出来るだけ着ないようにして、どうしても着るときは丸めてマンションの廊下に出てから着る…など、ポッキーを出来るだけ怖がらせないように努力をしています。

 

ポッキーは、今も黒いものが怖いけど、今はとても幸せな毎日を過ごしています。

犬はアクセサリーやおもちゃではない

マルチーズの子犬

小さな命を、どんな理由があろうと、黒いビニール袋に入れてゴミ捨て場に置くなど、人間のすることではありません。

子犬のうちの可愛いときだけ飼って、成犬になったら人にあげるという人。

生きているうちは、可愛がって着飾らせてどこにでも連れて行っていたのに亡くなったら生ゴミに出す人。

 

犬はアクセサリーやおもちゃではありません。

最後に

犬の命も人と同じくらい大切なひとつの命です。

助けられたポッキーはとても幸運でしたが、そういうケースばかりではありません。

命に責任を持つことはもちろん、新たに迎えるなら保護犬という考え方など、殺処分ゼロを目指したいですね。